近年、社員を粗末に扱い、劣悪な労働環境で働かせる「ブラック企業」の存在が問題視されています。
長時間労働や低賃金、ハラスメントなど、ブラック企業の定義はさまざまですが、共通しているのは、従業員の心身を危険にさらす、違法行為や不当な行為が行われているということです。ここでは、なぜ日本にこうしたブラック企業が蔓延っているのか、その背景に迫ります。
日本がブラック企業の温床となっている要因に、日本社会に「長時間労働が美徳」という考えが根付いていることが挙げられます。これは、労働時間や残業時間が長いほど、仕事熱心で責任感があると評価される在り方です。この風潮は、人を駒のように扱うブラック企業にとっては大変都合の良いものです。現場に「長時間労働は社会人として当たり前」という雰囲気を漂わせていれば、誰も声を上げることができません。加えて、「上司の命令は絶対」という理不尽な上下関係や「仕事を最優先にすべき」といった価値観があるのも、ブラック企業を生む原因となっています。
また、労働基準法などの法律が、必ずしも十分に機能していない現状も注目すべき点です。労働基準法とは、労働時間や賃金、休日など、労働条件に関する最低基準を定めた法律のことです。しかし実際のところ、労働基準法を守らない企業は多く存在しています。組織の強い力で隠蔽を強いられ、社員が泣き寝入りしてしまうケースも少なくありません。ブラック企業の問題を撲滅するためには、国全体で改革を進めていく必要があるでしょう。